中杉通りのけやきトンネルがきれいです金曜日は元我堂。2週間ごとに変わる平台の特集は、現在『古本動物園』開催中。ネズミからトトロまで(?)さまざまな動物に関する本、動物の名前をタイトルに持つ本を集めている。月曜店長のケイスケプロデュース。水曜店長ナンダがたくさんの動物絵本を加えて、思わず見入ってしまう楽しいコーナーになっている。元我堂には前から犬本、猫本が結構あって一度特集に、と思っていたので、動物本にかこつけて「猫好きのための本」「犬好きの逆襲」というミニコーナーも作ってみた。通りかがりの人が「おっ!」という感じで覗いていってくれるのがうれしい。売れるともっとうれしい。
今日は何ヶ月も前にとある本を探しているとおっしゃっていたお客さまがご来店になり、「前に○○○をお探しでしたよね?手に入りそうです」と告げるととても喜んでくださった。価格的にも満足とのことで一安心。店番している時、お客さまをジロジロ見るのは居心地悪くさせてしまうと思って極力他の仕事をしたり本を読んだりしているのだけど、お買い上げいただいた方や、お話した方はもちろん、何度か来店されている方の顔は会話がなくても覚えているものだ。
私がよく行く(といっても2ヶ月に1度ぐらいだけど)古本屋さんでの話。その店はBGMもなく、店主のおじさんは忙しそうに本の整理や値付けをしていたり、パソコンの画面を見ていたりして、私はいつも静かに息を殺すように本棚を眺め何冊か選んでレジに出し、店主と話すこともなく帰るので自分のことは覚えていないだろうと思っていたら、ある日会計を済ませて店を出ようとする背中にぽそっと「いつもどうも」と言われたことがあった。別にやましいことは何もないけれど、「あっ!面が割れていたか!」と少し恥ずかしいような、けれどもうれしいような複雑な気持ちになってしまったのだった。
だから自分が古本屋の店番になってみたら、本当だ、お客さまって1人1人棚の見方が違うし、割合と来る時間が決まっている、なんていう発見があり、素知らぬ顔をしながら「あ、またあのお客さまだ!」とか思っているのです。
それで、本の会計を済ませた背中にぽそっと「毎度ありがとうございます」と言ってみたりするのが最近の楽しみだったりして。
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■本日の一冊
動物のぞき/幸田文
(新潮社・1994年・初版)1500円
これぞ幸田流、動物園探訪・見聞の記、全10話。土門拳の動物写真20葉入り。あるものは哀しく、あるものは猛々しく、あるものは可笑しみをまじえて語られます。動物の姿を透して、ヒトの哀歓も浮びあがるのでした。
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特集/古本動物園
posted by 店主かねこ at 23:55|
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□古本のこと
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