久しぶりの立川流一門会、国立劇場大劇場にて。最初に立川談笑『金明竹』。以前はフジテレビ朝番組“特ダネ”にレポーターとして出ていたけど、今はどうなんだろう。前に一門会とか、よその高座で聞いたときもうまいなぁという感想だったけれど、今回も津軽弁の伝言のところなどは大いに笑い、やはりうまいと思った。今年の秋に真打ち昇進だそうで、おめでとうございます。
次が志らく師匠。今日は何を、とワクワク期待していたら、前回私が見に行った時の談志師匠と同じ『死神』。でも志らくなりのアレンジがあり、死神を退散させるまじないが「アジャラカモクレン、八代英太さんあなたはなにをやってるんですか」だったり。ま、落語会だから放送コードとか関係なくいろいろ言うわけです。立川流はその辺のブラック感が面白かったりするわけで。家元曰く、「俺のまくらは聞いてるほうも罪になる」ト。
次がゲストで笑福亭鶴瓶。初めて高座を聞く。数年前から古典落語に取り組んでいると聞いていて、6人会(鶴瓶、志の輔、小朝、昇太、こぶ平改め正蔵、花禄の6人)へ行ってみたいなーと思っていたので、これはうれしかった。演目は『青木先生』。ありゃ、古典じゃないよ、とちょっとがっかり。しかも緊張気味?テレビに出ている時の方がリラックスしているように感じた。ただもう鶴瓶という存在自体が面白オーラを放っていて、どの演目でも鶴瓶は鶴瓶なのかもしれない。高校時代の担任・青木先生は怒って興奮すると歯から空気が漏れて「ピー!」っと音が出る。その「青木のピー」を聞きたいがために駿河少年(鶴瓶の本名)が数々のいたずらを考えるというもの。こちらは見ず知らずなのに、青木先生のものまねが傑作であった。関西では、「教科書179ページをまくりなさい」と言のですか。それは青木先生だけですか。
仲入り後、談春の『文違い』。これは確か2度目。今や向かうところ敵なし、といった感の談春、かっこよすぎる。なにか時代劇で色気のある鳶頭の役でもやってほしいぐらいである。この人に「てめぇバカヤロウ!」と平手打ちされる長屋のおかみ役に私はなりたい。あ、いや、殴られるのは嫌だから、怒鳴られるぐらいでいいか。そんな余計なことを考えつつ、今日も落語を堪能した。談春未見の方は、毎月築地でやっている独演会にぜひ一度足をお運びくださいな。
そして家元である。いきなり「キムジョンイルマンセー!」で始まったので、今日は調子がいい模様。でもまた一回り小さくなった気もする。本当の病状はどうなのか、心配。演目は『金玉医者』。ずっとCDで聞いていたのを、生で聞けるのはうれしい。談志は動きも面白いから。比較的声もちゃんと出ていた。客をイリュージョンの世界に連れて行っては、いきなり引き戻す、といった風に、演者としての自分を冷静に見ている素の談志が、時々顔を覗かせる。それは熱演に対する照れ隠しのようでもある。そういうところを目撃できると無性にうれしい。もうすぐ死ぬ予定なんて言わずに、まだまだがんばってほしい。ほんと。