昨晩、深夜まで元我堂を開けていて、帰宅後は寝てしまうと寝坊する恐れあり、よって寝ずにお茶の水へ向かう。受講前に明治大学の11階で受付を済ませよ、との指示が前もって郵送で送られてきていたので、エレベーターで11階に向かう。
エレベーターを降りると「受付」があり、数人のスーツを着た男女が立っている。名前を告げると男の人が受講者リストを見ながら、「金子さん、金子さん、金子さん…………あのー、お名前ないんですけど……」と言う。「え?でも、あの、ホラ、この案内が」と、郵送されてきた受講案内を見せる。すると「あ、これは別の建物でやっている講座ですね、こちらは比較文化研究会の学生講座です」ひゃー。間違えて“リバティ・タワー”に来ていたらしい。あわてて走って“アカデミー・コモン”という建物へ。結局それで5分遅刻する。(なんのために寝ないで来たんだか)
教室に入ると、明治大学の職員(?)の方が、施設についての説明をしているところだった。師匠の話を聞き逃さずに済んでよかった。落ち着いて教室を見回すと、受講者は30人ぐらいいて、ずいぶん年輩の方が多い。中には古書店の方や、出版社の方もいるとのこと。
一箱古本市以来の「生」師匠だが、昔は教師をされていたそうで、ホワイトボードを背に話す姿がとても様になっていらっしゃる。「古本はいま、いちばんおもしろい!」その理由を、ご自身で買った本の紹介を交えながら楽しく話していく。カビくさい、むずかしい、汚い、高い、そんなイメージの古本が、現在どう変わってきているのか。古本販売のスタイルの多様化について。売り手にも買い手にも女性が増えてきていること。岡崎さんが集めている本のジャンルについて。知識を凝り固めるのではなく、頭を柔軟にして古本を見る。自分なりのテーマを見つけることで、新しい世界が広がる。などなど。
隣りの席のおばさま(うちの母ぐらいの年代の方)、回覧されてくる本を見ながら「あら〜これ私も持っていたわ〜、こんなもの価値があるなんて思わないものねぇ〜、あらぁ、捨てちゃったわぁ。うふふ。」などと感心しつつ、楽しそうな様子。
1時間半があっという間に過ぎて、受講者のうち数人の希望者は、このあと岡崎さんと一緒に神保町の古書店と古本まつりを回るツアーに参加。私は眠くてお腹が減ってフラフラ。一人でお昼を食べてから神保町へ。古本まつりのワゴンを見始めると雨がパラパラ降ってきて、屋外のワゴンはみなシートを掛けられてしまった。でも講座の余韻を楽しんでナニか買って帰りたいので、小宮山書店のガレージセール(3冊500円)へ。
『西洋の詩を読む人に ポエム・ライブラリィ4』(東京創元社/昭和31年)、茨木のり子編『金子光晴詩集』(弥生書房/昭和42年)、井伏鱒二『黒い壺』(新潮社/昭和29年)の3冊を購入。『西洋の詩〜』は、カバーのお魚の絵と手書き文字に引かれて手に取ると、装丁が花森安治だった。『黒い壺』は早速読んでみたら面白い。収録されている「艶書」という短篇は骨董の話だが、そういえば昨日、秦秀雄『忘れがたき日本の味』という本を買っていて、この人は井伏鱒二『珍品堂主人』の主人公のモデルになった人との由。読まねば。
夕方、阿佐ヶ谷に移動。このあの文庫で借りていた本を返却したのち、5時からバルトで「黒船レディと銀星楽団」のライブを見る。28、29日の2日間は「阿佐ヶ谷ジャズストリート」というイベントが行われており、阿佐ヶ谷のいたるところで無料、有料のジャズライブが見られる。
さて、黒船レディは今夜も満面の笑みと歌声で、我々を幸せな気分にさせてくれた。ソルトリバー伯爵がコーラスをした曲もかわいかったし、「古本屋のワルツ」はやっぱり何度聞いてもよい。フレンチポップスっぽい新曲「パティシエ」も披露。次はどんな曲かとワクワクしながら楽しませていただく。(この日の様子はもんごメモにも。)
その後、ライブに来ていたMongoさん、海ねこさん、このあの館主人とその友人、計10名でタイ料理ピッキーヌへ。古いアパートをレストランにしてしまったような造りで、知り合いの家で晩ご飯をいただくような雰囲気の店。唐辛子系の辛いものが苦手な私でも、おいしく食べられる本格タイ料理だった。カニが甲羅ごと入ったカレーなんて初めて。自分で巻く生春巻きも美味。いくら10人でもちょっとオーダーしすぎ?っていうぐらいの料理が出てきて、食べ残しは袋に入れて持ち帰る。今日は長く、充実した一日。