
天候が心配された一箱古本市は、午後からの雨により3時過ぎに撤収というイレギュラーはあったが、昨年同様たくさんの人出だった模様。私は出店するギャラリーKINGYOの前半(11時から14時)を担当する専従スタッフとなっていたため、他の14カ所のスポットは全く見ることができなかったのだが、静かな路地裏にあるギャラリーKINGYOにも、引きも切らずにお客さまがいらしてくださったことからも、その盛況ぶりを伺い知るというわけで。当店でお買い上げくださったお客さま、本当にありがとうございました。
開催の2日前の夜、実行委員会の皆さんと助っ人を交えた最終ミーティングが行われ、古本市の進行を細かく、時にはゆるく検証しながら、確認事項を共有し、疑問点を話し合った。その帰り道、なんだか悪寒がして喉も痛みだし、これはまずいとすぐに家に帰って早めに寝たが、夜中、熱にうなされて何度も起きてしまう。どうも同居人の風邪をうつされてしまったようだった。
28日朝は唾液も飲み込めないほど喉が腫れ、熱も38度になった。いつもなら風邪をひいても病院にはめったに行かないのだが、今回だけは別。すぐに病院へ行く。たんまりと処方された抗生物質や粉薬を飲むと、心身共に単純なのかひゅーっと熱が下がった。夕方には36度2分になり、一安心。しかしそのせいで遅れた準備のため、寝たのは朝方5時すぎ。むう。
7時起床。少し喉は痛いが、熱はなし。7時20分頃、メーリングリストにて開催決定の連絡あり。少し早めに行くつもりが、やはり頭がぼーっとしていてぎりぎりの時間に家を出発する。家を出て15分ぐらい経ってから、一箱古本市の出店に最も大切な、本を入れた「一箱」をまるごと家に忘れてきたことに気が付く。
一瞬目の前が真っ白に。しかし家に戻っていたら、専従スタッフとして店主さんをスポットに先導し、朝のミーティングを行う役目ができなくなる。幸い、補充用の本だけは積み込んでいたので、それで勝負することに。遠足にお弁当を忘れた小学生の気分になりつつ、集合時間の10時ジャストに往来堂書店到着。
すでに後半担当の専従スタッフ、
星祭舎(たなばたしゃ)の主代さんご夫妻が、出欠と第一陣の先導をしてくださっていた。本当にすみませんでした。すぐに往来堂書店さんで、不要な段ボール箱をいただき、それを使って一箱設置。なんとか形にする。
去年の動向をふりかえってみると、まず11時の開店と同時に、古書展初日派、といった感じの古本マニアなおじさまがわらわらと箱を漁って、手頃な本を抜いていき、その波がひいたあたりから、若い女性や、つつじ祭りのついでに覗いていく中高年、ご近所の方が続々やってくる、という感じだった。それで、まず初めに古書好きが手に取るような、落語・演芸本を中心に並べて、少し隙間ができた時点で、女性向け(着物本や森茉莉、幸田文、武田百合子等)、東京散策系などを投入する計画だったのだ。だから補充用といっても決して手は抜いてなかったのが不幸中の幸い。
同じ出店場所では、
楽楽楽楽楽堂(ごらくどう)さん、
おーでぃっととれいるさん、Sortie☆さん、ふくろ小路一番館さん(←元我堂のナンダさんです)の本が、特に面白いように売れていた。スタンプラリー用紙にハンコを押したり、店番の会計を見守ったり、備品の減り具合や天気を気にしたり、その合間に自分の箱を直したり。予報より早く1時半ぐらいから、雨が降り出し
たが、ギャラリーKINGYOには可動式のテント屋根があったため、12箱が雨に濡れることなく中止決定の3時まで販売を続けることができた。
ほぼ撤収が終わった頃に石ころ嬢としおみん登場。ナンダさん、コウノさんと5人で根津の喫茶ダンディ(ここしか席が空いてなかったのだが、以外と穴場)にてお茶。私とコウノさんは5時半から急遽開催の、店主同士の古本交換会に参加。これが意外と面白く“一箱古書展”といった感じで、不忍ふれあい館という地域センターのようなところのホールに、有志の店主が箱を並べて販売するスタイル。50箱ほど参加した。長距離を歩く時間や体力のない人向けに、このやり方もアリなのでは、と思ってしまった。

19時から、その会場で売上金の受け渡しと表彰イベント開始。去年、岡崎武志賞をいただいたので、今年の受賞は絶対他の店主さんだという確信があり、後ろの方でお気楽に見物する態勢でいたところ、早稲田の
古書現世・向井さんに<セドロー賞>をいただいてしまった。一瞬、本当に聞き間違いだと思った。びっくり顔のまま100人の前の舞台へ上がる。しおりにつけた唐草模様のテープのことや、品揃えについてコメントをいただいた。セドローさん、ありがとうございました。あの短い時間でいつの間に、唐草テープまで見てくださっているとは本当に恐ろしいお方です。景品としていただいたのはこの品々。

アトムが描かれた券は、早稲田・高田馬場の地域通貨で、10馬力=10円だそうです。近日、古書現世で使わせていただく予定でおります。ハガキはセドローさんの著書『
早稲田古本屋日録』の版元である
右文書院さんに、どれでも希望する本を一冊、プレゼントとして送っていただける魔法のハガキだそう。やったー。
スタッフ+助っ人の打ち上げには参加せず、帰宅。実行委員会の皆さま、助っ人の皆さま、お疲れさまでした。助っ人に加わって本当によかったです。舞台に立つより裏方の似合う性分のため、また次回も参加させていただきたいと思っております。
家に帰って、ベランダから空を見たら星が出てました。今日の自分を思い返し、しばらくは反省の日々を過ごします。
posted by 店主かねこ at 18:19|
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□古本のこと
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