梟の宵だくみ。
宵っ張りで深夜になるほど仕事がはかどるたちで、帰宅は毎日午前0時過ぎ、3時4時になることもしばしば。通勤は自転車(片道40分)なので、この時間帯は道にほとんど人がいないため、鼻歌を歌ったり口笛を吹いたりしてのんびりとペダルを漕ぎ、道中を楽しんでいる。
最近はiPodに入れている『唱う小沢昭一的こころ』を繰り返し聞いているので、鼻歌は石田一松「のんきな父さん」や「ストトン節」を、口笛で吹くのは「美しき天然」、灰田勝彦「バタビアの夜は更けて」、美空ひばり「ラ・浅草」など、自分の親が生まれた頃(またはそれ以前)に流行した歌。もちろん原曲は聞いたことがなく、小沢昭一のアカペラによるもの。
石田一松・辞世ののんき節がいい。
「歌でのんきを数えたけれど 生きていりゃこそ このシャバこの世界 みなさんさよならひと足お先に のんき探しに出かけます ハゝのんきだね」
小沢昭一は、昔の流行歌というのはじんわり流行ってなかなか廃れず、周囲の大人が好んで歌っていたのが自然に耳に入ってきて覚えたもので、何十年経っても耳の底に残っている、という。
そう言われてみると私にも覚えがあり、それは物心ついた時から隣に住んでいた、幼なじみのAちゃんのお母さんが歌っていた歌で、殿さまキングスの『なみだの操』という歌だ。この歌が流行ったのは1973年というから、私がまだ5〜6才の頃のことで、Aちゃんと遊んでいると台所から必ず、♪あなたぁ〜の ためぇにぃ〜 まもりぃ〜とおした おんなぁ〜のみさぁおぉ〜♪と歌う声が聞こえてきたので、意味もわからないままいつの間にか最初から最後まで歌えるようになってしまった。(もちろん今でも歌える。)
今、鼻歌で歌える歌って何かなー、と考えてみるに、やっぱりポニョ?いやいや、サビしかわからん(映画は見たけど)。なんかこう、静かな夜道で思わず口ずさむ流行歌が、昨今の歌に思い当たらない自分が少し悲しい。