2年前の駒込大観音・ほおずき千成市で購入した、緻密な刺し子のふきん。ご高齢の方が毎日少しずつ時間をかけて仕上げているそうで、「大変すぎて本当は値段がつけられないんだけど」と50代と思しき娘さんがおっしゃっていた。額に入れて飾ってもいいくらいだと思い、なんだかもったいなくて使えませんね、と言うと、「いえ、ちゃんと毎日使ってこそです。使ってください」ときっぱり言われた。
目で見て、触って、毎日使う方法を思いつく。仕事で長時間パソコンを使うが、市販のマウスパッドはどうも好きになれず、これまで手ぬぐいを折り畳んだもので代用していた。手触りが良く、汚れたら洗えるので気持ちがいいのだ。それで、刺し子ふきんもマウスパッドにしてみたら、滑りすぎず(Macの赤外線マウスの場合だが)、手ぬぐいよりもさらに具合がよかった。
刺し子は元々、布を強く丈夫にするためのものだが、それをこんなに美しい模様で仕立てるということについて、いろいろ考えさせられることが多い。作っている人の“意匠を凝らす楽しみ”という部分も大きいだろう。役立つ上に目に楽しく、生活を潤すために手間ひまを掛けられている。
残念ながら数を増やして作ることは無理とのことで、お店で取り扱うことは叶わなかったけれど、また今年もほおずき千成市に出品されたら購入したいと思っている。