脱皮をして以来、これまでになく活発になったカニの敬三さん。以前は昼間、石の陰に隠れてひたすらじーっとしていたのに、最近は人目も憚らずにタライの中を、鼻歌でも唄いそうな勢いで楽しげに動き回っておりました。
ちょうど1週間前のこと、いつものように敬三さんに食べ物を与えようとタライを覗き込んでみますと、しんと静まり返っていて気配がない。まさか!と思ってあちこち配置した石をひっくり返しても、どこにもおりません。んー、んー、昨晩のうちにタライを越えたんだね、まだ店内は出てない気がする、としばし考えてから捜索開始。
暗くて狭いところにもぐり込むはずなので、あらゆる隙間、棚の裏などを懐中電灯を使って覗いていく。そうしてバックヤードも店内もくまなく見たけれど見つからない。けど、うまい具合にドアをくぐって外に出て行くはずがないという確信はある。脱走してなにか怖いかというと水分と食べ物がなくて干涸びて死んでしまうこと。そこで、いつも使っている水の入ったアクリル容器と、エサである桜えびを乗せた石を店の片隅に設置して、この日はひとまず帰宅。
翌日、店を開けた同居人は敬三さんの心理を読み、「店に着いて、ドアを開けた時が勝負」と思って、慎重に入口ドアを開け、その周囲に目を光らせたそうだ。すると、入口の脇に置いてある傘立てと家具の隙間に動くものが! 敬三さんがひょっこり覗いていたのです! あと15cmで屋外というところに! 捕まえる時、たいへんに抵抗したというから、どうしても外に出たかったのでしょう。故郷に帰ろうとしたのかなァ。切ないことではありますが、タライにお戻りいただきました。
すぐにネットを買いにいって、タライの上にすっぽりかぶせた。お腹をすかせていたのか、おいしそうにパクパクとおにぎりを食べる敬三さん。ハサミの使い方がものすごくかわいいのよ。
posted by 店主かねこ at 03:43|
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□旅猫生物部
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