と、少々癪に障っていたのであるが、今日、まんまと本が並んでいる現場を押さえた。

店先にある本はすべて100円。屋内にも棚があるのかと思っていたが、段ボールや家財道具のようなものがたくさん積み上げられた倉庫のようになっている。クリーニング店のカウンターとはガラス戸で仕切られていて、元々古本屋だったのがクリーニング業務を始めたのか、はたまたその逆なのかは定かでない。
店先の棚を隅々まで見る。日焼けしたり、時々雨ざらしになったのか、紙がカピカピになった背表紙の本が多い。戸板康二『ちょっといい話』文藝春秋社(1978年)、木下順二『ドラマの世界』未来社(1973年)、谷川俊太郎『うつむく青年』山梨シルクセンター出版部(1972年)、獅子文六『父の乳』新潮社(1968年)など10冊拾う。
ガラス戸を開け、店の奥で炬燵にあたって新聞を読んでいたおばさんに声を掛ける。10冊分1000円を支払って、
「あのーこちらは古本屋さんなんでしょうか」
と聞くと、
「そうですよ」
と自信満々な即答。
「あんまり開いてないですよね」
「うーん、そうねぇ、風の強い日とか、雨の日は閉めちゃうわねぇ」
「はぁ、また来ます」
……おもしろすぎ。
家に帰ってから、野村宏平『ミステリーファンのための古書店ガイド』を見ると、杉並区・西荻窪の項に、この店<かんばら書房>が載っていた。クリーニング店兼業、とちゃんと書いてあった。

本はクリーニングしてない
