遅まきながら馬木の耳かきの馬木健一さんの訃報を知り、その後の馬木の耳かきはどうなっているのか? を確認するため巣鴨とげぬき地蔵通りへ出掛けた。
今日はとげぬき地蔵の縁日(“4”のつく日)で、たくさんの屋台が並んで普段の数倍にぎやかになる。早速、高岩寺境内へ。境内にいくつも屋台が並んでおり、その一番奥に地味に小さな机を置いて、馬木の耳かきが出店していた。
いつも馬木健一さんが耳かきを作っていた場所に、若い男の人が座っており、耳かきも少しだけ机に並んでいた。「健一さんが亡くなったと聞いてびっくりしました」と話しかけると、「そうなんです、3月の終わりにこの場所で倒れたんですよ」と教えてくれた。彼は息子さんではなくお弟子さんとのことで、白浜さんという方。健一さんはもともと心臓が弱く、脳にいくつも血栓があったそうで、今年に入ってからマスコミの取材を受けたりして忙しくなったのが体に障ったのではないか、とのことだった。
「僕もびっくりしました。耳かきを作り溜めしない人だったので、耳かきはほとんど残ってないんです。忙しくなったら家で作っておけばいいのにと思うんだけど、ここ(縁日の屋台)でしか作らなかったんですよ。」とも言っていた。
今日は後継者に応援の意味を込めて、耳かきを購入するつもりで来たので、いくつか並んでいるのを試して、1,980円のものを1本買った。耳かきはまだ作りたてだったようで、その場で「馬木の耳かき」というゴム印を持ち手にていねいに押してくれた。使い心地は健一さんのもとは違うけれど、白浜さんの耳かきも縁日でお客さんの要望と共に進化していくのだろう。