私が岡崎さんのことを初めて知ったのは3年ほど前。阿佐ヶ谷の千章堂書店という古本屋さんの店頭で、『古本でお散歩』(ちくま文庫/2001年)を手に取り、表紙をめくると、「古本へようこそ」という文字と共に、著者のイラスト入りサイン(岡崎さんご自身がリュックを背負って本を読みながら歩いていて、その上に太陽がニッコリ笑っている絵)が入っていた。その実にほのぼのとしたタッチが気に入ってしまい、たしか300円で購入。
それまでは、本好きではあるが買うのは専ら新刊で、時折、近所の古本屋で『東京人』のバックナンバーを買ったりする程度だったのだが、たまたま出掛けた神保町で古本まつりをやっていて、冷やかしで眺めた棚に興味のある本が次々と見つかり、持ちきれず宅急便で送ってもらうほど買ってしまった直後だった。
まだ恐る恐る古本屋に入るような感じだったので、この『古本でお散歩』に書かれている「古本屋初心者でも、ビクビクしないで堂々と古本屋とつきあえる作法」が、するするっと喉ごしのよい蕎麦のように飲み込まれ、私の古本(古本屋)に対する基本を作った。古本へようこそ、と招かれるまま、古本の世界へ突入したのである。(まだまだ、全然とばっくちですが。)
その後、昨年4月の不忍ブックストリート一箱古本市でご本人にお目にかかり、同年秋には、岡崎さんが講師の明治大学リバティアカデミー講座『古書の世界6』を受講したりと、古本の師匠から直接お話を伺う機会を得た。この講座では、わが相方のコウノさんにも出会った。先日もコウノさんに「わたし達って知り合ってからまだ半年ぐらいしか経ってないんだよね。もっと昔から知ってるみたいなのにねー」と言われ、あれ、まだ半年だっけ?と指を折って数えてしまった。
明大の学食でコウノさんと初めて話をしている時に、岡崎さんから「君たちは前から友達なの?なんかいいコンビやなぁ」と言われたのは、あれは予言だったのである。
そんな2人が、岡崎さんからご指名を受けてトークライブに参加してしまった。「文系メガネ女子お笑いコンビ」などという肩書きがついてしまって、“文系”で“メガネ”で“女子”まではいいのだけど、“お笑い”っつーのは、顔ですか?(笑)我々何も芸がないので、“お笑い”を入れるのはやめましょう。コントもできません。そもそも、“文系メガネ女子”という括りはもっと小洒落た方に向けられているものと思われ、我々につけられるともう自分で自分の後頭部をペシリと叩きたくなるのであります。
閑話休題。カネコとコウノ=カネコウノが、師匠・岡崎武志さんに50の質問をするというイベント、想像以上にたくさんの方がご来場くださって無事終了。聞いていたみなさんが面白かったのか面白くなかったのかは私たちには全然わからなくて、ただ質問に対して岡崎さんがとても正直に、真摯に答えてくださったことだけが、強く強く印象に残った。まるで3人だけで話しているような感覚で、あっという間の1時間半だった。
カネコウノの質問内容も含め、「岡崎武志コクテイルライブ」の様子は、この夏に刊行される“コクテイル文庫”に掲載されるとのこと。こちらも楽しみだ。
岡崎さんはじめ、ご来場くださったリコシェの阿部さん、晩鮭亭さん、久保田さん他の皆さま(は、もちろん岡崎さんを見にいらしているわけですが)、海ねこさん、Mongoさん、質問のヒントを与えてくださったNさん、そしてコクテイルの狩野さん、つたない質問にお付き合いくださって、この場を借りて心より御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。