案の定、音に驚いた大家さんが様子を見に来る。両親と大家さん、ごたいめーん。ずいぶん話に花が咲いてしまい、大家さんの人柄もよく伝わってきて、いい感じ。先はどうなるのかまだ全然見通しがきかないのだが、とにかくちょっとずつちょっとずつ、進めていくしかないと思っている。
都電で早稲田まで行ってバスで帰るという両親と、鬼子母神前で別れる。日が暮れて、鬼子母神の境内からなにやら威勢のいい太鼓の音。

紅白ちょうちんの列が木陰からチラチラと見えている。聞こえてくるは東京音頭

久しぶりに見る盆踊り かなりの人出です

みんな楽しそうに踊っている その輪は三重!

お姐さん方 年に一度の晴れ舞台

縁日もいいよね イカ焼きの香り立ちこめる

仕事場では金魚を飼いたい
縁日を冷やかしている間も、どんどん盆踊りの曲が変わっていく。曲の間に必ず、年輩の女性が少し気取った声で、
「つぎは、しょーねんやぎぶし、ほっかいぼんうた、はいります」
などとマイクで言う。「はいります」というのが泣かせる。
まだよそ者の私は、輪の外から踊る人々を眺める。秋の御会式とはまた違った、柔らかい表情をしている。雑司が谷の人は本当にお祭りが好きなんだろうな。櫓の上で“お手本”となって踊りをリードするお姐さん方を見ていたら、突然、涙が出そうになる。ふだんは家庭の主婦だったり、商店のおかみさんだったりする人が、あんなに生き生きと、格好よく踊っている姿に感動してしまったのだ。あんなに一生懸命な人達を見たらもう駄目なのだ。ううっと今にも涙がこぼれそうになり歩き出す。
和太鼓連のそばへ行って、男前のお兄さんが太鼓を叩くのを見て気持ちを鎮めた。
来年は絶対、東京音頭だって炭坑節だって踊るかんね、と決意する。
もちろん、自分も参加したほうがいいんだけど。
自分もかっこよくなれますから。
ピッとのばした指先とか、
キリリとした浴衣にまぶしい白足袋とか、
マジでかっこよかったんですよ。
あとから、盆踊り見て泣くなんて
一体自分はどうしてしまったんだろう、
と我ながら心配になりましたが。
10月18日の御会式、Mongoさんもぜひ参加してください。
絶対好きそうですから。太鼓はうちで用意します。
カレンダーに○つけておいてくださいね。
○つけておきます。