
6月のおわりに、イベント出店と仕入れを兼ねて初めて訪れた、福島県会津若松市。事前にGoogleマップとストリートビューで目的地の位置関係を把握していても、実際に歩いてみるとそのスケール感の違いに驚く。ずいぶん遠いのかと思っていたところが意外に近く、予想外に徒歩でいろいろなところを歩き回ることができた。
土曜日の夕方に高速バスで会津若松駅前に着くと、車はそれなりに交通量があるのに、駅前から続く商店街を歩いている人がほとんどいない。まだ外が明るい時間なのに商店が9割方閉まっていた。ぽつんと開いていたベーカリーで、明日の朝食のパンを購入した。
駅から歩いて20分ほどのところにある宿にチェックインしたあと、夕飯を食べに外へ。来る途中に目をつけていた定食屋の暖簾をくぐる。おばちゃんが1人、店内のテーブルの一角でテレビを見ている。その一角はおばちゃんの家の居間も兼ねているらしく、生活道具や調味料、新聞、雑誌などが占領している。
親戚の家に来たみたいだなと思いながら「焼きざかな定食」を注文。壁に手書きで貼られたメニューには、「焼きざかな」の魚がなんであるかは書いていないが、あえて聞かないことにする。出てきたのは白身魚の切り身で、表面は醤油とみりんでパリッと香ばしく焼かれていて、たぶんホッケだったと思う。小鉢に添えてある古漬けがものすごくおいしかった。
夜、カメラを持って街を探検。ホテルは市役所のそばにあって、その周辺は会津若松の歓楽街となっていた。
土曜の夜ということもあるのか、道は運転代行業者の車とタクシーで渋滞、路地という路地に人があふれて大変な賑わい。狭いエリアに、銀座と新宿ゴールデン街と神楽坂が入り混ざったようなところ。数時間前に、駅前の閑散とした商店街を見ていたので、正直、こんな場所が存在するなんて思っていなかった。
高級そうな料亭の角を曲がると、カウンターだけの一杯飲み屋が立ち並ぶ路地があり、さらに進むと入口にクラブの看板がびっしり並んでいるテナントビルがあり、江戸時代のような老舗のうなぎ屋があり、またその先には若者が集まるホルモン焼きの店があり……次々と変化に富んだ店が現れて飽きることがなかった。2時間ほど、写真を撮りながらぐるぐる歩いた。若者も年輩の男女も楽しそうに飲んでいて、漏れ聞こえてくる話し声が福島弁、というところがわたしには実に温かみがあって心地よかった。



夜の街が面白くて、ヘンな写真ばかりになってしまいました。次回は会津らしい町並みの写真もお見せしたいです。