ポポタムで11月26日から12月8日にかけて行われる、「丸木俊のイラストレーション展」に向けて、僭越ながら、カメラマンとして大林さんに抜擢(?)され、DM用の写真撮影をするのが目的。丸木美術館へ来るのも初めてだし、作品は印刷物でしか見たことがなかったので、お仕事というよりは好奇心の方が勝っていたのだった。
丸木俊の姪で養女でもある村上ひさ子さん、丈二さんご夫妻に案内されて、敷地内に建つ古民家へ。広い土間にガラス瓶が並んでいる。
最初は梅干しでも漬けてあるのかな、と思ったが、よく見るとたくさんの古銭だった。緑青がふいていて、保存液のようなものに漬けられている。いつ頃のものなのか、あとで丈二さんに聞いたら、40年ほど前、家を建てる時に土地を造成していたら土の中から大量に出て来たものだという。ただし、中国の古銭で、ほとんど価値はないのだとか。この丸木美術館の住所は埼玉県東松山市下唐子といい、400年ぐらい前から中国の陶芸職人が多く住み着いて、陶磁器を作っていた土地だという。
古民家の縁側廊下をお借りして撮影。ふと足下を見ると、軒下のコンクリートに埋められた小石がお花の形。
撮影が終わってから、美術館の休憩所となっている別の建物でお昼をごちそうになった。村上さんご夫妻が畑で作った野菜を天ぷらにしたもの、茹でたオクラや、おかかと一緒に炒めたししとう、うどん、大林さんが作ってきてくれたお稲荷さんなど。いろいろなお話を伺いながら、飲んだり食べたり2時間ほど。ごちそうさまでした。
そのあと、美術館で展示を見た。初めて見る「原爆の図」、想像していた以上に大きな作品だった。広島が、アメリカが、ということよりも、「人間」について考えさせられた。
丸木位里・俊夫妻の旧アトリエが「小高文庫」として公開され、その蔵書や関連の出版物を閲覧できるようになっていた。丸木俊がさし絵を描いた絵本や、村上ひさ子さんの絵本など、絶版になっている本を大林さんに教えてもらう。
美術館を出ると、それまで降っていた雨が止み、日が差す。ここぞとばかりに、美術館周辺の撮影も。あんまりうまく撮れなかったなぁ。使える写真が何枚かあればいいのですが。ポポタムでの展示内容は、
「原爆の図で知られる女絵描き・丸木俊(1912--2000)は絵本をはじめ子どもの本の分野でも多くの仕事をのこしています。今回で3回目となるポポタムでの丸木俊展では、児童雑誌の挿し絵や装画を中心に、丸木俊のイラストレーターとしての仕事をご紹介します。」
というものです。ぜひ足をお運びください。