2005年02月10日

■落語CDのススメ

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落語のCDを借りてみようと思いたち久しぶりに近所の図書館へ行った。CDの棚を覗いてみたら、この図書館ではおそらく借りる人が少ないのだろう、ひと世代(いや二世代?)前の落語家のものばかりが並んでおり、談志や志ん朝のCDはなかった。やたらとあるのはやはり志ん生、小さん、文楽、圓生、金馬、先代三木助など。そういうのを聞くのも面白いのだが、なにぶん実際の高座の姿を知らないので想像がしにくい。

さて、どれを借りようかな、と迷っていたら目に留まったのが「どぉもスイマセン。」の“林家三平”(三瓶じゃないよ)のCDであった。

家でパソコンをいじりながら三平のCDを聞く。一応、古典落語の「源平盛衰記」が演目なのだが、4分の3ぐらいは訳の分からないことを言っている。いきなり「よしこさ〜ん」と歌う。「三平グラフィティ」の中で、三平の真打ちお披露目の口上(古今亭志ん生、先代橘屋圓蔵)の録音も入っていた。32歳の時と晩年の高座が続けて入っているのも面白かった。寄席の客が噺の途中で話しかけたり、赤ん坊が泣いたりする。

「ここからこっち、笑いが少ないようですから、こっち側を重点的におこないます。反対側はお休みクダサイ。」

この面白さはなんなんだろう。間のとり方が天才的。普通にしゃべっている時も笑えてくる。最近、こぶ平も落語を真剣にやってるみたいだけど、うまくやろうとしている堅実な感じがちょっと。三平のテイストはむしろ弟のいっ平の方に受け継がれているように感じている。

同居人はこのCDをMP3に変換して、通勤電車で聞くという。それは止めた方がいいよ、と私は言うのだけれど。笑いたい時にこらえるのはツライからねぇ。

次は志ん生を借りよう。
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2005年01月22日

■談志独演会

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家元、映画『理由』に出ています

今年最初の談志。王子の北とぴあ・さくらホールへ都電で行く。今日はまくらも快調で新しい小咄、ジョークを連発。最初の演目は『木乃伊取り』。大店の旦那、お内儀、番頭、頭、若旦那、太鼓持ち、飯炊きの権助、吉原の遊女と、見事に演じ分けていく。談志に8人の別人格の霊が取り憑いているとしか思えない。特に女性役を演じるところはいつも感心してしまうのだが、最小限の動きと声のトーンでバアさんから幼い娘までを演じ分ける。

それから鳶の頭の“江戸弁”がおかしくて、周りの人はあんまり笑ってないのに私と同居人だけがクックッと肩を震わせてしまった。いやほんとに何を言ってるのかわからないぐらいで談志も合間に解説(「縄ァたぐりに行って」=「蕎麦を食べに行って」とか。)を入れていた。権助が遊女に手を握られるところ、転げ回っての熱演。ノリノリだった。

仲入りのあと、『死神』。「死にてぇなァー」とつぶやく屋根大工の熊さんが、死神の計らいでニセ医者になり金儲けをさせてもらうが、金に目が眩んで御法度をしてしまう。落語には人間のかなしさや無常をぐいっと目の前につきつける噺も多いのだ。落語の本質と言うと堅苦しいが、「この噺の一番肝心なところはどこか」を知り尽くした演者にかかると、ただ笑ってばかりのネタだけが落語でないことがよくわかってくる。

【木乃伊取り】
さるお店の若旦那が吉原に出かけたきり五日ももどらない。旦那は番頭の佐兵衛に言いつけて迎えに行かせるが、今度は番頭も帰ってこない。困った旦那は町内の頭領に頼んで、
二人を迎えに行かせるが、これがまた七日たってももどらないというありさま。

無骨者の飯炊きの清蔵が「若旦那の首に縄をつけても連れてくる。」と言い放って吉原にやって来る。帰りたがらない若旦那に「腕ずくでも連れて帰る。こう見えてもおらは村相撲の大関を張っていた。」と豪語する。ようやく若旦那は重い腰を上げようとするが、帰り際に「まぁ、一杯だけつきあえ。」と清蔵に酒を勧める。清蔵は慣れない酒をつがれて困惑するが、三杯杯を重ね、酔っぱらってしまう。若旦那が「そろそろ引き上げるぞ。」と言うと、清蔵は「あぁ、もうけえるってか。ははは、帰るんならあんただけお帰んなせえ。おらぁ、もう二、三日ここにいるだよ。」

【死神】
金が出来るまでは家に入れないと家を出された男。ふとしたことで死神に出逢う。死神は男に同情し病人の側に居る死神を追っ払う呪文「アジャラカモクレン・・・テケレッ
ツノパァ〜」をさずけた。医者の看板を揚げた男の懐には面白いように金が入って来る。金に目が眩んだ男、死神との約束を破ってしまうが...

落語検索エンジン「ご隠居・根多データベース」より
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2004年12月22日

■年内最後の談志

談志百席
▲談志百席/第1期 買うかァー。

毎年恒例、年内最後の談志、リビング名人会で有楽町よみうりホールへ。6時半開演のところ、ヤマト運輸の集荷が遅くなってしまって30分遅れで会場へ。いつも枕が30分ぐらいあるのでホールに入る前に軽く食事も済ませてしまう。仲入りになってから席につこうと思っていたら、どうやら最初はタキシード姿(頭にはバンダナ)で漫談だったらしく、ちょうど着替えで5分ほど楽屋に戻るところだった。

席につき、袴に着替えた談志が出てくる。なんか調子はよさそう。枕もほどほどに『粗忽長屋』に入る。「死んでるのは確かに俺だけど、俺を抱いている俺は誰だろう」という下げはシュールで好きだ。粗忽長屋は密かに深いのである。仲入り後、『芝濱』。よみうりホールでは3年連続の演目。これを聞いて年末を迎えるのはうれしい。私はCDでいい時の芝濱をくりかえし聞いているので、今日の出来は70点ぐらいかなと思ったが、初めて聞いた友人はすごくよかったと言った。喉の調子か、語尾がかすれて消えがちになるのが気になった。けれど、他の落語家の芝濱を聞くと、やっぱり談志にはかなわないと思う。

会がはねたあと、友人と銀座4丁目「一平」でおでん。そのあとさらに阿佐ヶ谷へ行き、元我堂火曜店長・石ころの家での忘年会に合流。月曜店長・ケイスケ、木曜店長・海ねこさん、Mongoさんたちと深夜まで楽しく話す。ケイスケ、私の失敗談を酒のツマミにするのはやめましょう。
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2004年11月27日

■今日の談志

立川談志

今日は久しぶりの談志を聞く日。自宅から近い練馬文化センターで行われるので、夕方ひとっ風呂浴びてから自転車で会場へ向かう。会のタイトルは『立川談志と若手精鋭落語家の会』。

前座の立川志の吉からはじまって、柳家喬太郎、春風亭昇太、柳家花禄、立川談志という順番で、『若手精鋭』というのは花禄だけ?という気もしないではないメンバーだけれど、大好きな春風亭昇太がまた聞けると思うとそれだけで楽しい会である。

まずは志の吉「松竹梅」、立川流に弟子入りするだけでも気骨のある若者だと思うのだが、談志の会の前座というのは皆相当なプレッシャーがかかる。唯一の救いは前座の段階ではまだ談志が楽屋入りしていないことだが、談志を聞きに来る客というのはやはり厳しい。緊張感が伝わってきてこちらが手に汗をかいてしまう。

次に柳家喬太郎「ほんとのこというと」、この人は今まで全く知らなかったけど、談志に呼ばれるくらいだからクセ者?と思っていたら、本当にすごかった。細かいのです、描写がいちいち。ひとり芝居のような創作落語で不思議な味があり、もっと聞いてみたいと思える人。

次に春風亭昇太「権介魚」。これ聞くの2度目なんですが、なんでも師匠(春風亭柳昇)からは2つしか落語を習わなかったというから、あと1つもそのうち聞いてみたいものだ。昇太の訳解らないまま笑いを取る芸と妙な動きが大好きで、やっぱり今日も涙を流して笑ってしまった。

次に柳家花禄「時そば」。花禄はいい、と、いろんな人から聞いていたので一度見たいと思っていて、本日初。小さんの孫だから談志とは一門みたいなものだけど、花禄の“サラブレッド感”は立川流にはそぐわないし、花禄本人も新しい師匠はいらないと言っていた。落語は至極まじめできれいに演じすぎており、蕎麦をすするところは拍手も起きたけれど期待したほどではなかった。おそらく皆にそういう目で見られていることを、本人が一番よく知っているに違いない。年を重ねてこの芸がどこまで行くのかが楽しみではある。

さて最後に談志の「短命」。私は「談志をこっそり見守る会」会長として、都内周辺で行われる独演会、ひとり会は必ず見にいくことにしているのだが、今日のはどうも調子がよくなかった。調子のいい時と悪い時でこんなに落差のある落語家は談志だけだろう。美人妻が亭主と3度も死に別れるところ、2人目が死ぬのを飛ばして3人目の話に入ってしまい、途中で気づいて2人目のところに戻った。去年12月のよみうりホールでの「芝浜」もよくなかったが、年末は疲れがたまってきてしまうためだろうか。体調が心配である。
posted by 店主かねこ at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | □落語・立川流 | 更新情報をチェックする